患者さま、生徒さん、関係者の方々へ。
周知のように、2020年4月7日、緊急事態宣言が7都府県に発令されました。
新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、皆様方のお仕事や、日々の生活に多大なる支障が出ており、不安な日々を過ごされていることと思います。
九州大学病院で行っていた私の専門外来も、しばらくの間、休診させていただくことになりました。
すでにご予約をいただいている方には、順次、キャンセルや変更のご連絡をさせていただいております。
再開時期はまだ未定ですが、緊急事態宣言の解除とともに、状況をみて再開できればと考えております。
また、院外で行っていたボイストレーニングにおいても、生徒さんの皆様にはすでに中止および延期のお願いをさせていただいており、ご迷惑をおかけしております。
報道関係の方々へ。
この困難な時期に、貴重な情報はもちろん、子供たちやご家族が楽しめるコンテンツも含めて発信して下さりありがとうございます。
手洗い、うがい、加湿を励行いただき、どうか大切な「声」と「健康」を大切にしてください。
ボイスユーザーの方々へ。
大切な興行が中止になったシンガー、アクターをはじめとするボイスユーザーの方々。
必ず、皆さまのエンターテイメントの力が必要になる時がきます。私自身、これまで人生の苦境で何度もエンターテイメントに救われてきました。
ピンチをチャンスだと思い、今は普段なかなか難しい、声帯を休めることに集中してください。
生徒さんへ。
しばらくの間レッスンは中断しますが、声帯のコントロールにおいて重要なことは、たゆまぬ基本所作の積み重ねに他なりません。
宿題として出させていただいたタスクを徹底的に練習して、能力向上の絶好の機会にしてください。
音声言語医学は我々の生活には欠かせない「声」という「機能」を診る分野ですが、今は、貴重な医療資源を「生活の質」に割くことができない緊急事態であり、
「命」を守ることを何よりも優先しなければいけない危機的状況です。
これは私事ですが、東日本大震災が起きたまさにあの日、私は仙台にいました。
未曾有の震災を旅行先で、頼る者もいない中、恐怖と不安で押しつぶされそうでした。
それでも避難所で、売り物のパンを全員に平等に分けてくださった、近所のパン屋さん。
支給されたペットボトル数本の貴重な水を、お年寄りや子供たちを優先して、最後まで譲り合った避難所の人たち。
自らも被災しながら、タクシーで県外に送り届けてくれたタクシー運転手さん。
私は生きる上で計り知れない大切なことを学び、一生かかっても返せない恩を受けたと思っています。
そして今、医師として、そのほんの少しを返すことができる機会にできればいいなと思います。
私のような末端の医師でも、何か役に立てることがあると信じ、行動していきたいと思います。
どうか皆様も、ご自身とご家族の命を守る行動をされてください。
また、元気に笑顔で皆様とお会いできる日を楽しみにしております。