「声がかれる」「声がでない」などの声のトラブルは、音声障害と呼ばれ、耳鼻咽喉科の中でも、音声医学という専門領域で取り扱われます。その中でも、「声」を生業とする、職業歌手や俳優、アナウンサーなどのボイスユーザーの方は、高いレベルで声質や音域をコントロールし、パーフォーマンスを行うため、「高い声が出にくい」「声が裏返る、ひっくり返る」「声の持久力がなくなった」などでトラブルになることがあります。そのため、音声医学の中でも特殊性がとても高く、医学的に正しくメンテナンスを行うことが大切です。
声帯振動は毎秒100回以上で、高音域の場合はその何倍にもなり、通常の内視鏡では観察ができません。そのため、音声専門施設では、喉頭ストロボスコピーという機器を用いて、声帯の振動を、擬似的にリアルタイムでスローモーションに再構築し、観察します。また、声帯は呼気をエネルギーとした自励振動により音を生成するので、発声機能装置を用いた発声の呼気流の精査も重要です。パフォーマンスで使用する発声を、低音域から高音域まで精査し、微小な声帯病変や、機能的な異常の診断を行います。
治療は、衛生指導、内服治療、点滴治療、外科治療、また発声のリハビリテーションである音声治療が適応になります。
ボイスユーザーの方にとっては、声帯は、交換のできない唯一の楽器です。プロのギタリストがギターを、ピアニストがピアノのメンテナンスを欠かさないように、ボイスユーザーの方も楽器である声帯のメンテナンスが不可欠であると考えます。我が国では、声の不調時には民間療法として、市販の漢方薬・のど飴・はちみつ・サプリメント等が摂取される傾向にありますが、医学的には十分とは言えません。また、病院に行く際にも、声の症状で内科を受診することも少ないありませんが、声帯の診察は、耳鼻咽喉科でのみ可能となるので注意が必要です。ボイスユーザーの方は、耳鼻咽喉科、可能であれば音声専門施設で定期的なメンテナンスをお勧めいたします。
現在、私は福岡市内の病院にて、ボイスユーザーを対象とした音声の専門外来を行っております。
対象
- 声をパフォーマンスで使うボイスユーザー(歌手・俳優・アナウンサー・ナレーターなど)
- プロフェッショナル・アマチュア問わず。
当外来はボイスユーザー向けの専門外来になります。その他の声のお悩みや、耳鼻咽喉科症状ではお悩みの方は、お近くの耳鼻咽喉科でご相談ください。
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